地盤・地質・環境学班は、現状の遺跡と、それらを補修する際の地盤、地質、環境学的な問題点の抽出と、地域に関連する自然科学的な実態把握を基礎として、最適な補修修復方法への提案・実施を目指して調査研究を行ってきました。

修復工事後の建造物の安定を保つためには、地盤基礎の現場での入念な土質の確認や室内試験・実験を重ねて、往古の手法を十分に理解した上で、必要に応じて改良・強化を施す必要が有ります。

これまでに遺跡や地盤の挙動観測を継続的に実施しており、また1994年には、アンコール地域における最初の基岩盤にまで達する地質ボーリング調査を行っています。さらに、温度・湿度・風速・風向・雨量などの環境変化の観測も継続しています。

そしてアンコール地域における環境問題の最大の要因は、やはり水によるものと考えられます。それは遺跡周辺の池や壕の水位の変化によって、構造物の変位が発生するからです。水は農業用の灌漑のみならず、地域や観光施設の上水用、さらにはクメールの理念や景観などの観点からも重要な要素と言えます。したがって水環境についても、シェムリアップ川からトンレサップ湖にいたる広域な地域を含めて調査を行っています。