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工事概要

北経蔵は西大門と中心コンプレックスを結ぶ大舗道の両脇に南経蔵と組みになった建物です。この建物はこれまでEFEOおよびASIによって部分的な修復が行われています。本工事では以下の作業を行いました。

1) 崩落した側室及びポーチの屋根の再構築
建物周辺に散乱した約800個の部材片の中から約450個について元の位置を割り出し、再利用が可能な約310部材について部材を修復した上で再構築しました。またオリジナル部材が見つからない箇所については、それが崩落部材の再構築のために必要であってかつ痕跡から形状を確認できるものに限り、新しい砂岩を用いて約190部材を製作しました。

2) 側室及びポーチの柱材・梁材の解体修理
10個の柱材及び12個の梁材について新砂岩材の補填及び補強による修理を行いました。またオリジナル部材の再利用が不可能で鉄筋コンクリートで作られていたものについては新たに砂岩で部材を製作しました。

3) 主室屋根の雨漏り防止と壁劣化部の固化

4) ポーチ基壇の解体と補強

 


Fig.1 散乱部材の再構築範囲(灰色部)

 


Photo.1 部材修理(柱材)

Photo.2 仮組

Photo.3 再構築

修復技術の特色

1) 部材修理
本工事では部材の修理において構造的に重要な破損部分への新砂岩材の補填を行いました。これは荷重の伝達を確実にするためです。またポーチの柱材の修理においては縦割れした柱にステンレス鋼の肋材の埋め込みと新砂岩材による根継ぎを適用しています。

2) 工事記録のデータベース化
本工事の記録は各種図面、写真記録、部材修理記録まで全てHTML書類を基本としたデジタル化がされており、最終的にデータベースとして活用できる形で報告書がまとめられています。

3) 再構築部の位置調整
北経蔵は建物全体が中央部で最大25cm沈下しているため、崩落部分を完全に原位置に戻すためには全解体工事が必要になります。一方基礎の圧密沈下は現状で安定しており、そのままの状態に維持することが望まれました。そこで本工事では、部分解体と鉛板・ライムモルタルによる嵩上げによる再構築部の位置調整という修復手法を採用しました。

4) 新部材の彫刻面の表面仕上げ
新しい部材の仕上げ方法については各修復チーム毎に方針が異なります。JSAでは、「オリジナル材と新材との違和感が生じない」かつ「オリジナル材と新材の明確に判別できる」ように、オリジナルの彫刻仕上げとほぼ同じ状態まで彫刻を施した後に、Bush Hammerと鑿で表面を荒らして柔らかい仕上がりにしました。


Photo.4 修復後、全景
2005年7月 土屋武 早稲田大学理工学総合研究センター
 2005年4月までJSA修復設計班長期派遣団員

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