JSA / JASA

Japanese Government Team for Safeguarding Angkor
JAPAN-APSARA Safeguarding Angkor

日本国政府アンコール遺跡救済チーム

バイヨン憲章

策定の経緯

「バイヨン憲章」策定の経緯
-バイヨンシンポジウムの成果を通じて-

第1回目のバイヨンシンポジウムの目的はバイヨン保存修復活動に携わるすべての専門家との情報交換を開始する事でありましたが、回を重ねる毎に、我々は如何にしてバイヨンと向き合うべきかを、非常に広範かつ有意義に検討することができました。そしてそのバイヨンシンポジウムの成果が「バイヨン憲章」の策定に繋がっています。本項では過去のバイヨンシンポジウムを通して見出された、「バイヨン憲章」の骨子となっている当時の検討の経緯を紹介します。

バイヨンシンポジウムを通して見出された事

第1回目のバイヨンシンポジウムの目的はバイヨン保存修復活動に携わるすべての専門家との情報交換を開始する事でありましたが、回を重ねる毎に、我々は如何にしてバイヨンと向き合うべきかを、非常に広範かつ有意義に検討することができたと思われます。本項では「バイヨン憲章」の策定へ向けて、バイヨンの保存修復と活用のための基本理念を導くべく、過去のバイヨンシンポジウムを通して見出された、今後のバイヨン保存修復事業に対する基本姿勢について分析しています。

1.バイヨンシンポジウムでの主要な報告・議論項目について

第1~7回目のバイヨンシンポジウムシンポジウムでの主要な報告・議論項目は11の項に要約・分類することができました。「バイヨン寺院全域の保存修復のためのマスタープラン」の骨格の検討を始め、バイヨンの歴史や修復技術の研究だけでなく、バイヨンの存在意義、海外事例との比較研究を含め、多くの視点から「バイヨン」について議論がされました。

第1-7回シンポジウムでの主要な報告・議論項目 (1996-2002年)は以下の通りです。

■ バイヨン寺院全域の保存修復のためのマスタープラン

 1-5.1:バイヨンマスタープランのコンセプト
 1-5.2/7.2:バイヨンマスタープラン作成に向けて
 1-7.1:遺構保存修復の方策
 3-4.1:遺構保存の倫理に関して~奈良会議の視点~
 3-6.2:バイヨンマスタープランの計画
 4-5.2:バイヨンマスタープラン(案)
 5-3.1.2:バイヨンマスタープラン最新情報
 6-3.1:バイヨンマスタープラン(案)
 7:バイヨンマスタープラン(案)
 7:バイヨン憲章の作成に向けた活動に関して

■ バイヨンの歴史的研究

 1-6.1:バイヨンの建築歴史
 1-6.2:バイヨンでの発掘調査
 1-6.3:バイヨンとその碑文
 1-8.1:北経蔵のオリジナルの容貌に関して
 3-2.2:バイヨンの歴史的様相
 3-2.3:バイヨンの建築学的分析
 4-5.3:バイヨン最上層テラスの尊顔に関して
 5-3.1.5:バイヨン外回廊での発掘調査
 5-4:バイヨン尊顔に関して
 5-5:バイヨンバスレリーフ書き起こしに関して
 6-4.1.1.1:JSAによるバイヨンでの一連の発掘調査に関して
 6-4.1.1.3:バイヨンの信仰形態の変化に関して

■ バイヨンの修復技術研究

 1-8.2:北経蔵の解体に関して
 2-2.1:バイヨンJSAによる石材修復の方法
 2-5.1:バイヨン北経蔵の基壇修復に関して
 3-5.1:JSAバイヨン保存修復活動の近況報告
 4-5.1:バイヨン中央祠堂の安定性に関して
 4-7.2:アンコール観光のメモ
 5-3.1.3:バイヨンの傾き傾向に関して
 5-3.1.4:バイヨン維持管理に関して
 7:バイヨン排水調査

■ カンボジア地域社会におけるバイヨンの意義

 3-4.2:バイヨンの宗教的、人類学的様相
 3-4.3:バイヨン修復の目的~将来的機能の観点から~
 4-4.2:バイヨン文化的保存に向けて~他寺院との比較から~
 4-4.3:生きた寺院としてのバイヨン保存修復(ディスカッション)

■ 人材養成と専門家寄与の意義

 4-8:人材養成に関して(ディスカッション)

■ アンコールでの現場見学による保存修復課題への理解の深化

 3-2.4:バイヨン見学ツアー(デュマルセ、クロードジャックによる案内)
 5-3.1.1:バイヨンバスレリーフ見学
 6-4.2:バイヨンとプラサートスープラ見学
 7:JSAとGACPによるバイヨンでのレリーフ調査現場見学
 7:APSARAと奈良文化財研究所によるプラサー
 ト・トップ調査現場見学
 7:APSARAとサントロ氏によるアンコールワット護岸修復現場見学
 7:JSAによるアンコールワット最外周壁内北経蔵修復の現場見学
 7:JSAによるバイヨンでの排水調査見学

■ 海外での参考事例の調査研究報告

 2-6.2:文化的遺構のフォトモニタリングによるドキュメンテーション
 2-8.1:遺構自然石の劣化と保存に関して
 3-6.1:ノートルダムとストラスブルグの修復マスタープラン
 4-7.1:ピサの斜塔とパヴィアの中世塔に関して
 4-7.3:塔と地盤に関して~ピサの斜塔とアンコールの塔を通して~
 4-7.4:ピサの斜塔についてのディスカッション
 4-7.5:ローマ、パラツォセナトリオの修復レポート
 5-7.1:ローマ、トラジャンコルムでの修復方法
 5-7.2:タイ、パキスタン、シリアでの遺構保存の比較
 6-5.1:ローマコロッセオに関して
 6-5.2:ボロブドールでの保存修復に関して
 6-5.3:奈良平城京での保存修復に関して
 7:ケルン大聖堂の保存修復に関して
 7:エルサルバドール、ジョイヤデセルンの保存修復に関して
 7:レバノン、バルベックの保存修復に関して

■ アンコール地域での遺跡と歴史的資源の比較研究調査報告(遺構の調査研究)
 1-9.1:遺構の維持管理に関して
 2-2.2:王宮門損傷砂岩材の修復に関して
 2-2.3:プリア・カーンでの砂岩材の修復及び交換に関して
 2-2.4:プノンペン博物間の砂岩彫像のインベントリー
 2-3.1:アンコール遺跡群の地質学的問題
 2-3.2:土質被害を受けた遺構のモニタリングと補強~プレループを通して~
 2-4.1:クメール遺跡での地固め基礎工事に関する報告
 2-4.2:バプォーンにおける修復プログラム
 2-6.1:ワットでの砂岩アプサラバスレリーフの保存修復と維持管理
 3-5.2:クメール建築の構造的問題について
 3-5.3:ワットバスレリーフの状態と修復
 4-6.1:プレループ煉瓦塔に関して
 4-6.2:スープラ修復のための構造調査
 4-6.3:バプォーンの中央群に関して
 4-6.4:プリア・コーでの6つの塔の保存修復
 4-6.5:チャウサイデヴォダの中央聖壇の損害原因の分析
 4-6.6:プリア・カンでの構造修復方法
 4-6.7:王宮の塔状門に関する研究
 6-5.4.2:アンコールワット彫像保存のための準備調査
 5-6.1:タニ窯遺跡への提案
 5-6.2:アンコール遺跡保存修復のための様々なアプローチ活動に関して
 7:APSARAと奈良文化財研究所のアンコールでのジョイントプロジェクトに関して

■ アンコール地域での遺跡と歴史的資源の比較研究調査報告(歴史的都市基盤調査)

 7:アンコール地域での水利研究

■ アンコール地域での遺跡と歴史的資源の比較研究調査報告(地域社会研究)

 6-5.4.1:クメール民族の起源に関して
 7:アンコール地域での集落の研究

■ アンコール地域での遺跡と歴史的資源の比較研究調査報告(マネージメント計画)

 4-4.1:アンコール地域のサイトにおける保存と開発の課題

※数字はシンポジウムの次数と報告書の章番号を指す。(例:「4-4.3」は、第4回シンポジウムにて議論され、報告書4.3節に掲載の項目)

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▶︎ バイヨン憲章 最終報告